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■green glass(2021)
 上落合でひっそりと営まれているお蕎麦屋
さん。今回は入口部分に限定した改修計画。
界隈は下町風情が残る住宅密集地で道幅が狭
く迷路のような場所。工事中も顔馴染みのご
近所さんが店主さんと挨拶や世間話を交わす
光景が幾度となく見られた。
 コロナの深刻な蔓延から1年余りが経過し
外食・外出を控えるムードは世界的に広がり、
日本でもニューノーマルという言葉とともに
良識ある人々の間では既に常識となっている。
業種に限らず業務形態の転換が迫られる中、
飲食店でも時短営業や客同士の密を避ける工
夫などが続けられている。
 green glassの店主さんは営業を完全予約制
に切り替え入店人数を絞り、その代わり安全
・安心にテイクアウトにも対応できるように
されたいとのことだった。閉塞感が拭えない
状況の中、少しでも多くの人にお蕎麦を届け
たいという前向きで力強い思いに触れ、心か
ら勇気づけられる思いがした。店主さんの夢
は将来地元の静岡に戻りご自分のお店を出さ
れることだそうだ。その際には今回の改修部
分を静岡に持って行かれたいとのお考えを伺
いそのことがとても嬉しかった。
 耐久性・防犯性を考慮しながら簡単にかつ
強固に、既存サッシ枠を残しながら設置でき
る方法。現場の状況から手段は限られていた。
既存引違い戸を引戸+小窓付き壁部分で構成
し全て桧材を用いた。壁部分はLアングルで
床と既存サッシ枠に固定。経年変化による木
の変色は避けられないが、できる限り長く木
肌の風合いを楽しんで頂けるよう保護塗料は
慎重に選んだ。
 既存建物との若干の違和感は将来の移転に
向けての大事な種子となる。総桧の入口は既
に未来に向けてのイメージを育み始めている
ようだ。本当に楽しみである。

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