■塵箱(2024)
―製作:㈲建築苔原
―素材:ナラ、黒檀、メラミン樹脂、真鍮
家具デザインのご依頼を頂きました。
第一弾は木製ペダル式ゴミ箱。これまでの
お仕事で「踏んで開ける」というような機械
的な動きを考えた経験がなく、ネットで参考
になるものがないか調べてみたところ、市場
には金属製のものばかりで、ついに “ 木製で
ペダル式 ” というものを見つけることはでき
ませんでした。あるカフェのトイレにあった
金属製ペダル式ゴミ箱を観察してみましたが、
機構部は、バネやらクランクしたステンレス
の棒やら、おもりのようなものやら・・・複
雑な工業部品の組み合わせでとても ” 木製 ”
に応用できそうもありません。
仕方ないので、大工さんが製作可能なシン
プルな機構を一から考え図面上で可能な限り
動きをシミュレーションし、製作に入りまし
た。ですが、蓋はイメージしていた角度まで
開かなかったり、蓋と機構をつなぐ部品をフ
ック状にしたことで踏んだ勢いによってはず
れてしまったり試行錯誤の連続でした。工場
で大工さんお二人と私、何度も意見を重ね、
ついに気持ちの良い角度までスムーズに開け
られるゴミ箱が完成しました。
商品化されて市場に出回っている工業製品
は本当によく考えられているなと改めて実感
しました。しかもそれが当たり前のように手
ごろな価格で手に入るのです。自転車などは
一万円ちょっとで買えるものもありますが、
最初に考案した人の努力と苦労は相当なもの
だったろうと今更ながら思ってしまいました。
車なんてどれ程だったことか・・・
古代から人類が積み重ねてきたテクノロジ
ーやイノベーションというものは当然事故と
いう負の側面とも切り離せないのですが、今
なお継続している新しいものや価値を生み出
そうとするエネルギーというのは、やはり凄
いと感じた次第です。
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OthersDate:
2024-02-21