■竹清堂（２０１７）
　創業明治４０年老舗竹工芸店の改修工事。
京王線桜上水駅から程近い甲州街道に面した
木造２階建瓦葺の建物で、日除け上の竹細工
の『ゾウ』は長らくこのお店のトレードマー
クになっている。
　扱う品々は実に幅広く、芸術性を極限まで
追求した花籠、茶の湯で用いられる茶杓や茶
筅から普段使いの笊や青竹の菜箸、ランプシ
ェード…etc、丁寧に活けられた季節の花々。
どれも日常に彩りや潤いをもたらしてくれそ
うで思わず手に取ってみたくなるものばかり
である。
　これまでは３代目御当主の田中旭祥さんと
ご子息で４代目の田中茂樹さんがその都度工
夫をしながらお店づくりをされてきた。創業
１１０年の節目を迎えリニューアルするにあ
たり、伝統を受け継ぎつつ若い世代の人達に
も親しみをもってもらえる空間が求められた。
　繊細な竹細工や花々の魅力が引き立つよう
な背景として、また竹清堂の歴史に相応しい
奥行きを湛えた空気感が生れる空間づくりを
目指し、構成・素材選定・照明計画等丁寧に
検討を重ねた。
　リニューアルオープンの際には完成を心待
ちにされていた多くの方々がお見えになり、
竹清堂が培ってきた人々との良い関係や時間
の厚みを改めて実感した。